学術集会会長挨拶

日本免疫学会の会員の皆様

会員の皆様におかれましては、ご清祥のこととお慶び申し上げます。

さて、本年2012年12月5日〜7日の3日間、神戸市の神戸国際会議場、神戸国際展示場、神戸ポートピアホテルにて第41回日本免疫学会学術集会を開催することとなりました。本学術集会からは、開催地が固定されることになり、幕張メッセと神戸国際会議場の2か所となりました。会場の固定化により、これまで以上に、学術集会の企画が重要となってきます。昨年千葉の幕張メッセで開催された学術集会における、徳久学術集会長のすばらしい企画・運営を参考にさせていただき、本年も最先端の研究者から学生までを含む様々な方々が満足できる学術集会にしたいと考えております。

昨年は、自然免疫がノーベル賞1の受賞対象となりました。近年の免疫学研究は、自然免疫と獲得免疫との相互作用とその制御機構の解明が急速に進む中で、これまで研究の中心であった分子・細胞の機能研究から、イメージング技術やバイオインフォマティクスを用いて、免疫細胞内での分子の網羅的解析や時・空間的解析、さらには、組織・個体レベルでの免疫応答の理解に変化してきております。ヒトの免疫学の重要性がますます強調され、感染症やアレルギー・自己免疫病などの治療に対する新しいアプローチが積極的に求められております。このような状況の中で、本学術集会の国際シンポジウムでは、主に自然免疫とシグナル、エフェクターT細胞と神経―免疫相互作用、リンパ球の動態制御とイメージング、炎症の持続と寛解、粘膜バリアーの維持と破綻、自己免疫疾患・アレルギーの分子メカニズム、免疫におけるトランスレーショナル・リサーチなどを企画しております。また、新しい試みとして「システム免疫学」に関しても議論したいと考えております。シンポジウムに対するアンケートにフィードバックする形で、本年のシンポジウムでは、外国人シンポジストをなるべく多く招待することにいたしました。昨年から開始され、好評だったレビュートークを今年も取り入れ、座長のお一人に講師をお願いし、その後の国際シンポジウムでの講演内容の理解を助けるような日本語によるレビューをしていただきます。さらに、Late breaking talkの枠を設けることにより、最新の話題も取り込みたいと考えております。

昼には関連分野セミナー、テクニカルセミナー、クリニカルセミナーも多数企画して、参加者の多様な興味に答えるとともに、基礎・臨床の両分野での最先端の研究成果の理解に役立てる企画を目指します。午後のワークショップでは、テーマごとに選ばれた演題が口頭発表されます。質疑や討論を通じて、研究の次へのアイデアに繋がったり、共同研究にまで発展してほしいと思います。ワークショップの最後には、ポスター発表者全員による「1 minute presentation」を行った後、ポスター会場に移動して、引き続き参加者間で活発な討論を行っていただきます。このように皆様が積極的に参加していただける学術集会を目指します。本学術集会が、貴重な情報交換の場となり、そこから新しい知的交流や共同研究が生み出され、今後の研究の発展につながることを強く期待しています。

演題募集は5月29日(火)正午より開始される予定です。会員の皆様は勿論、現在は会員でない方も是非この機会にご参加頂き、世界をリードする日本の免疫学研究を肌で感じていただくとともに、さらなる発展のために、特に若手の方の積極的な参加と発表を期待しております。2年前、第14回国際免疫学会議が行われ、大成功に終わった神戸市で、ふたたび同じ感動・興奮を味わっていただけたらと思います。学会員の皆様の積極的な演題投稿をお待ちしております。

2012年2月
第41回日本免疫学会学術集会会長  審良 静男