第44回日本免疫学会学術集会

会長挨拶

日本免疫学会の会員の皆様

会員の皆様におかれましては、ご清祥のこととお慶び申し上げます。

さて、本年2015年11月18日(水)〜20日(金)の3日間、札幌市の札幌コンベンションセンターにて第44回日本免疫学会学術集会が開催されます。本学術集会は、近年千葉幕張メッセまたは神戸国際会議場のいずれかで開催されてきましたが、第43回は、京都で、そして第44回は11年ぶりに札幌での開催となりました。久方ぶりの北の大地での免疫学会開催ですので、すべての会員の皆様にとって魅力ある、かつ有意義な学術集会にさせていただきたいと考え、実行委員会一同、決意も新たに鋭意準備を進めているところです。

私にとりましては、今から30年以上前にT細胞をモデルとして細胞周期の研究を始めたのが免疫学との出会いでした。リンパ球を使うのだから免疫学を勉強しなくてはと考えて参加した日本免疫学会の学術集会は、驚きの連続でした。当時の私にとっては意味不明の言葉を駆使しながら口角泡を飛ばして議論をする参加者を見たときには、一瞬、外国の学会へ来たような錯覚を起こしたことを記憶しております。何より驚いたのは、発表が終わる前からマイクの前に列が出来るという点でした。“議論を吹っかける”雰囲気を感じたほどでした。当時、免疫学会といえば議論白熱のすさまじい学会であるというのがもっぱらの定評だということを後で知り、なるほどその通り、すごい学会があるものだと感心しました。その後、分子生物学的手法の発展に伴って、免疫学会の中でも分子細胞生物学的な発表が多くなり、また多くの新しい会員が参加し、演題数も急速に増加していったことを覚えています。その結果、日本の免疫学は世界を牽引する程までになったのは皆様ご存知の通りです。多くの外国人参加者を迎えるようになり、学会を英語化したことも世界をリードする学会であり続けようという日本免疫学会の姿勢を表していると思います。

第44回学術集会では、この受け継がれてきた姿勢を反映した魅力的なシンポジウム、教育的レクチャー、関連分野セミナーなどを企画すべく準備を進めています。しかし言うまでも無く、学術集会の最も重要なイベントは、会員の皆様による独創性あふれる成果発表と討議が行われるポスターセッションとワークショップです。特にポスター発表では、若い研究者の皆様の生のデータに基づく談論風発こそが、学術集会の要と考えます。本当に聞きたいことが聞け、言いたいことが言える開放的なポスター発表になることを心から希望して、問題点を提起し、より深く核心に迫る討論が活発になるようなポスターセッションを目指します。ワークショップでは、英語での発表を推進し、アジアを初め世界の研究者と共にテーマへの洞察を深めて行きたいと思います。

演題募集は5月より開始される予定です。是非とも多くの会員の皆様が、成果を持ち寄って発表し、そして新たな研究の着想を得て、今後の研究に繋げて行っていただけることを期待しています。学術集会後は週末となります。晩秋の北海道の澄み切った風は、サイエンスで熱くなった皆さんを爽やかに癒やしてくれることと思います。

2015年2月
第44回日本免疫学会学術集会会長 小安 重夫